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　米連邦下院は8日、同性婚の権利を保障する法案を賛成多数で可決した。既に上院でも可決しており、バイデン大統領が近く法案に署名し、成立する。法案には結婚を「一人の男性と一人の女性の結合」と定義した結婚保護法（1996年制定）の廃止も盛り込まれ、名実とも結婚の法的定義が幅広くなった。

　8日の採決では、同性婚擁護に積極的な民主党議員に加えて、共和党議員39人も賛成に回り、258対169の賛成多数で可決された。法案には、連邦政府が同性婚を合法だとする州での同性カップルの婚姻を認め、カップルが他州に移動した場合も婚姻は有効だと認める規定が設けられた。

　連邦議会議員として初めて同性愛者であると公言し、結婚保護法に強く反対したバーニー・フランク元下院議員（民主党）は議会の行事で「議員として結婚保護法の誕生に立ち会ったが、お葬式にも参列できて、とても感謝している」とジョークを交えて喜んだ。フランク氏は「今回の（同性婚保障）法案成立が責任ある立法の例だと人々に理解されることを願う」と述べ、同性愛者だと公言している初の上院議員であり、法案を推進してきたタミー・ボールドウィン上院議員（民主党）をねぎらった。

　米国では2015年の連邦最高裁判決に基づき、同性婚の権利が保障され、結婚保護法の規定も事実上無効化されていた。しかし、共和党のトランプ前政権下で、同性婚の権利保障に慎重だと目される保守派の最高裁判事の指名・承認が相次ぎ、リベラル派は判例が覆る可能性を懸念していた。今回の法案は、判例が覆って保守的な州の州法で同性婚が禁止された場合でも、同性婚の権利を最低限保障する「安全弁」の役割がある。【ワシントン秋山信一】